☆TRACKにのって☆

「日本新聞」

号外が街を飛び交う。
「日本国民の顔は本日をもって終了します。」
デマだろうと気にもしなかった。
午前0時をまわった。煙草を3本立て続けに吸って寝ようとした。
TVを消し・・・ない?
いつも映る画面に自分の顔がなかった。

次の日も、号外が道を汚す。
「顔の配給は公民館へ!」
公民館に行くと、みんな同じ顔だった。
笑い出したくなるくらい不気味だった。どうしても”配給の顔”を受け取る気にはならなかった。
煙草を買おうといつものコンビニに入り「2個」といった。
「銘柄は?」
いつもなら通じるが、こちらには顔がない。

ある日CMで
「配給のお顔に物足りない方、個性豊かなお顔が出来ました。
ニューフェイス!」

今では顔はファッション。
ステイタス。
学生は制服と共に顔も揃える。
雑誌ではこぞってどの顔が人気か特集を出す。
顔を付け替えるのがブームになった。

「ちょっといい?」
警官だった。
「顔つけてないけどなんかした?」
え?!
「1週間以内に顔つけてね。防犯上。」

自分はどんな顔だったろう。
煙草に火を付け、タスポを見た。
配給でもファッションでもない、ただの自分の顔。
顔なんかなくても、煙草が旨いや。
なんにもない顔で、ひとり笑った。
[PR]
by star-track | 2015-12-06 20:07