☆TRACKにのって☆

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雨が降り出した。
子供の寝息が浅くて苛立つ。

その駅には屋根がなかった。
灯りの消えた電車がやってきて
顔を失った私たちは
どこまでも どこまでも 乗っていった。
終点まで払う切符代を忘れていたのに。

雨は止まない。
いっそう強く。
壊れていく音楽。
なにも流れない。

TVでは愛し方が流れ、
心から血を流した女が部屋の秩序を守ろうとする。

でも
もう化粧を落とすから
雨はそのうち止むだろう。
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by star-track | 2015-12-14 17:31

食物連鎖

草木が美しいのは 光を食べるから。
鳥が影をつくるのは 木の実を食べるから。
ライオンのあくびが恐ろしいのは 命を食べるから。
赤ちゃんが天使なのは 命を食べないから。
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by star-track | 2015-12-13 21:57

「日本新聞」

号外が街を飛び交う。
「日本国民の顔は本日をもって終了します。」
デマだろうと気にもしなかった。
午前0時をまわった。煙草を3本立て続けに吸って寝ようとした。
TVを消し・・・ない?
いつも映る画面に自分の顔がなかった。

次の日も、号外が道を汚す。
「顔の配給は公民館へ!」
公民館に行くと、みんな同じ顔だった。
笑い出したくなるくらい不気味だった。どうしても”配給の顔”を受け取る気にはならなかった。
煙草を買おうといつものコンビニに入り「2個」といった。
「銘柄は?」
いつもなら通じるが、こちらには顔がない。

ある日CMで
「配給のお顔に物足りない方、個性豊かなお顔が出来ました。
ニューフェイス!」

今では顔はファッション。
ステイタス。
学生は制服と共に顔も揃える。
雑誌ではこぞってどの顔が人気か特集を出す。
顔を付け替えるのがブームになった。

「ちょっといい?」
警官だった。
「顔つけてないけどなんかした?」
え?!
「1週間以内に顔つけてね。防犯上。」

自分はどんな顔だったろう。
煙草に火を付け、タスポを見た。
配給でもファッションでもない、ただの自分の顔。
顔なんかなくても、煙草が旨いや。
なんにもない顔で、ひとり笑った。
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by star-track | 2015-12-06 20:07

川鏡。

もう川を見てもなんとも思わなくなった。
本当のことを知りたかった頃
人を傷つけるということを
知らなかった。

全てを放棄し、
川の最期を見届けた。
”私”という入れ物から自由になって。
 名前を捨てて。

名前なんか大嫌いだった。
呼ばれるたびに口から出る「イミ」
そんなもの見たくもない。
口から出るものなんて見たくもない。
 だから見ていた。

川は風景を切り取る。
空がそこだけ大きくて、
水鳥たちが鏡を割る。
たくさんの命が漂い、
たくさんの思い出が流れてくる。

もう川をみてもなんとも思わなくなった。
川が流れることに
 「イミ」なんてなかった。
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by star-track | 2015-12-03 21:51